2022年の制作について、時々アップします。展覧会との兼ね合いで作品紹介が時系列にならないこともあります。
2022年7月20日(水)~2022年7月26日(火)、松坂屋上野店本館7階美術画廊・アートギャラリーにて開催されています「光風会選抜展」の出品作についてまとめます。
今回は、春の記憶をテーマに、実際に出会ったものから感じた印象や、思い出されたこと・考えたことが、皆さんの遠い記憶と共振できないかと思いながら制作をしました。
会期も後半になりました。足を運んでいただけたら嬉しいです。
また、第7波で遠方への外出を控えられている皆さんにも、画像を通して楽しんでいただけましたら幸甚です。(2022年7月23日)
〇出品作品のご紹介
花咲く日に
F8/油彩
(2022年7月 光風会選抜展@松坂屋上野店)
今年の春、学生時代からの友人が遊びに来てくれた時に出掛けた鳥取市青島。湖山池に浮かぶこの島は桜の名所としても有名で、この日は満開の桜と菜の花で島全体が輝いて見えました。行動制限のない春休み。多くの人がお弁当を広げたり花の中で遊んでいたり、サイクリングを楽しんでいたり。私たちの暮らしの中の楽しみとはこういうことなんだなと、何だか幸せな気持ちになったのを覚えています。
小さな島を散歩をしているときに出会った忘れられない瞬間を「花咲く日に」という作品にしました。
若い二人が、桜の木のそばでお昼を楽しんだのでしょう、籠をひっくり返した即席テーブル、その周りに折りたたみ椅子が。女性が子どもを抱えて乳母車に赤ちゃんをのせようとしています。男性はそっと乳母車に手を添えています。
賑やかなグループから少し離れた桜の影で、晴れた日に外で食事ー。
赤ちゃんと出掛けるというのはなかなか大変なことなんですが、それでもこの日、この場所で一緒に食事をするために出掛けたんだと思うと、胸がじーんとしました。
子どもの記憶に残らないかもしれないけれど、満開の桜の下で、輝く黄色い花々の向こうの、青い湖やその先の景色をみながら食事をしたことは、きっとこの二人は忘れない。
尊い瞬間に立ち会えた感動を絵に残したいと思って描きました。
幸福なにおい、くすみのない色、神々しくみえた小さな家族、湖と春の風。
できるだけ作為的ではない構図になるよう進めましたが、画面をまとめるのがかえって難しくなりました。
出品直前まで手を入れてしまい、実は写真の状態は最終の状態ではありません。
実物をご覧いただけたら嬉しいです。
春うらら
F4/油彩
(2022年7月 光風会選抜展@松坂屋上野店)
この作品も青島での一日から生まれました。
この日はサイクリングを楽しむ家族連れによく遭遇しました。小さな島なので何周も走っている家族もいます。大概小学生ぐらいの子どもが先頭で、ひたすら走ることを楽しんでいます。その後ろを保護者が穏やかな顔で(いや、疲れて無表情になっていたのかも?)追いかけています。
補助輪のついた自転車でガタガタと音を立てながら走っていたのはいつのことでしょう。
自転車で走り回れることが楽しかったのって幼稚園から小学校ぐらいだったような気がします。
でも自転車の思い出として蘇ってくるのは、小さな妹の姿ばかりでした。
二人姉妹だったので、洋服は青系は私、赤系は妹と分けられていました。
妹は私と真反対の体格。
小柄で細く、赤い服がとても似合っていました。
スカートや袖から覗く手足は折れそうに細く、その細い足で一生懸命補助輪付き自転車のペダルを漕ぎます。
私の中の意地悪な気持ちがムクムクと起き上がり、立ち漕ぎをして追いつこうとする妹との距離を広げたり。
何とヒドイことをと今なら思うのですが、その時は私なりに存在を掛けて頑張っていたんでしょう、多分。
遠い昔、確かに私も妹も、春に見守られながら自転車を漕いでいました。
それは祝福された、とても幸せな季節だったように感じられます。
でも、きっとこれからも、ひたすら漕ぐことを楽しむんでしょう。
それが幸福なことであるということを忘れないようにしたいです。
2022年5月31日(火)から岡山天神山文化プラザにて開催される「第45回岡山光風会展」出品作について少しずつアップいたします。これから会場に足をお運びいただく方、すでにご覧くださいました方、そして遠くにお住いの方にも楽しんでいただけましたら嬉しいです。
2022年5月29日(日) 関野智子
5月31日更新:展示についてブログにまとめました。
→こちらからどうぞ。https://tks.fukuwarai.net/Entry/795/
〇出品作品のご紹介