毎週金曜日更新


作品紹介Vol.5-A 

 

 

 

 

祭りの日

 

 F0(13.9cm×17.9cm)

キャンバス・油彩等

2020

 

作品紹介Vol.5-B

 

 

 

 

代掻く

 

 F4(24.3cm×33.4cm)

キャンバス・油彩等

2020

 

今日は2枚の風景画をピックアップしました。
「祭りの日」は記憶の中の風景、「代掻く」は5月の上旬に描いた写生です。

「祭りの日」は、昨年の10月20日鳥取砂丘へ出かけた時に見た忘れられない光景を絵に残したくて描きました。その日はとても美しい夕焼け空で、砂丘へ続く歩道には赤い提灯が並んでいて、行き交う人達が「きれいだねぇ」と風景を楽しんだり、足を止めて写真を撮っていました。太陽が沈んだ後の空の美しさや、明かりに導かれて歩き続ける時の高揚感と厳粛さが入り混じった不思議な感じを絵にしたいと思ったのですが、手元のスナップは思った通りブレブレで、薄暗い景色は実際より暗く沈み込んでいて、記憶とわずかな資料を手掛かりに描き進めることになりました。最初は4号で進め、明かりが導くその先に焦点を絞った構図にしたものの、かなりの面積を占める茫洋とした周辺部がどうしても難しく制作は難航。何度も描きなおしたり、紙やすりを掛けたりいろいろ手を掛けた末、最終的に画面を小さくすることで何とか完成させることができました。茫洋とした部分こそ丁寧な観察が必要で、観察を元にしているから省略もできるのだなと実感した作品です。

「代掻く」は今年の連休の終わりに2日間で描いた作品です。田には水が入り、裏山の緑も美しく、畦には沢山の草花が咲き、カエルの声が響き、燕も飛び回る―この季節の景色が一番好きかもしれません。キャンバスに地塗りをせずすぐ描き始め、楽しい感じでスイスイ進みました。翌日田んぼに機械が入り一気に水の色が黄土色に。まさに「代掻(田植えの前に鋤き起こした田に水を入れ、土の塊を砕いて田の 底を掻きならすこと)」の時に描いた作品となりました。目の前の景色を描く場合は自信を持って省略・単純化もできるし、神経質に細かい所にこだわらなくなるので楽しいですね。大らかで明るい5月の雰囲気があって気に入っている作品です。これからは取材をしたり写生をしたりする時間を確保して、沢山描いていきたいなと思っています。

 


その他の作品紹介はこちらから

 

Vol.1「緑の手」 Vol.2「光の庭から」 Vol.3「草花の見る夢」 Vol.4「光の手」 Vol.6「黒い馬・祝祭」

Vol.7「振り子とレモン」「花と小鳥と」

 

 作品についてのお問い合わせは

アンクル岩根のギャラリー(090-2864-4852)まで。

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